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P.3
―研究施設、正面入り口。
「警備員は・・・、いないみたいだな」
「騒ぎで警備員は皆捜索に当たっているのだろう。研究棟に忍び込むなら今がチャンスだ」
私たちの目的は研究施設の実態を暴くこと。脱走騒ぎに付き合う暇はない。
(なんとしても見つけ出してやる・・・!)
カツン。コツン。カツン。コツン...。
「"研究棟B区画入り口"。ここだな」
「ああ」
研究棟B区画。ここに来る前に確認した、軍に残る資料によるとここで実験が行われているようだ。何か証拠に繋がる資料が残されているかもしれない。
「"実験室"。いかにも怪しい感じだな・・・」
「入ってみよう」
「おいっ!?鍵なんか開いてるわけ―」
ガチャ。ギィィ。
「普通に開いた・・・」
「私も驚いた・・・。でも、これで調べられる」
バサッ。ピラピラ。
「これは・・・、データか?投与実験のデータのようだな」
「身体能力の向上と、錬金術の向上、か。薬物に関しては専門外だから、持ち帰って調べさせよう」
「おい、この2人の数値だけ異常じゃないか?」
「"被験体Aと、被験体N。身体能力の向上は順調。錬金術に対する素質は充分。問題なく軍の管理下に配置可能"。・・・」
「こいつら・・・、まだ年端もいかない子供じゃないか・・・?軍の管理下って冗談だろ、おい・・・」
「・・・これだけの証拠があれば研究実施計画の凍結に追い込める。探しにいくぞ」
「この2人を探しに、か?」
「ああ」
警備員よりも早く見つけ出して保護しなければ、この子達は必ず軍と政府にいいように利用されるだけだ。そして、用済みになれば使い捨てられる。大方この子達は、身元もわからないようにアングラな孤児院から引き取られてきたのだろう。こんな小さい子供の命を弄ぶなど、決して許されることではない。絶対に私は許さない!!
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