深夜のエレベーター

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
俺の住んでいるマンションは5階建て。 各階に停まるエレベーターが設置されている。 3階に住んでいる俺。 その日は幾ら夏とは言え、夜でも気温が下がらず寝苦しかった。そういう日に限って、冷蔵庫の飲み物を切らしていることに気付く。 深夜の2時過ぎであったが、暑さにたまらずコンビニに飲み物を買いに行こうと家を出た。 エレベーターのボタンを押す。 1階にいたエレベーター。すぐに動き始め、表示が2階…3階…え!4階!? 俺が住んでいる3階を飛ばして4階へと昇って行った。そして4階でしばし停まる。 こんな夜中に相乗りか。 タイミングが同じだったのかな。 特に気に留めず、エレベーターを待つ。 4階にいたエレベーター。 表示が下の階へ向かう「↓」となり、すぐ下の我が3階で停まる。 ドアが開くと、何とそこには誰も乗っていなかった… そんな馬鹿な!確かに4階へ行って、停まったハズ… もしくは1階に停まっていた際に、たまたま誰かが滑り込んで、その人が4階で降りたのかも… そうだ、きっとそうに違いない! 自分を納得させつつも訳がわからず、キツネにつままれたような気持ちでコンビニへ。無事に買い物を済ます。 何だかエレベーターが怖い… そう思いつつも、エレベーターのボタンを押そうとしたら、エレベーターが1階ではなく5階で停まっていることに気付いた。 俺がコンビニに行っている短時間の間に、別の誰かがエレベーターを使ったんだな。こんな深夜に帰宅する人がいるんだな。 特に気にせずにエレベーターのボタンを押そうとした次の瞬間。 ウィーーーン。 エレベーターが動き始め、行き先の表示板は「↓」のランプが点灯している。 え!ボタン押してないのに…? あ、たまたま5階から降りてくるのか!ビックリした… そして1階に到着して開いたエレベーター。中はもぬけの空であった。 夏の夜の暑さは一気に吹き飛んでいたことは、言うまでもあるまい。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!