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俺の住んでいるマンションは5階建て。
各階に停まるエレベーターが設置されている。
3階に住んでいる俺。
その日は幾ら夏とは言え、夜でも気温が下がらず寝苦しかった。そういう日に限って、冷蔵庫の飲み物を切らしていることに気付く。
深夜の2時過ぎであったが、暑さにたまらずコンビニに飲み物を買いに行こうと家を出た。
エレベーターのボタンを押す。
1階にいたエレベーター。すぐに動き始め、表示が2階…3階…え!4階!?
俺が住んでいる3階を飛ばして4階へと昇って行った。そして4階でしばし停まる。
こんな夜中に相乗りか。
タイミングが同じだったのかな。
特に気に留めず、エレベーターを待つ。
4階にいたエレベーター。
表示が下の階へ向かう「↓」となり、すぐ下の我が3階で停まる。
ドアが開くと、何とそこには誰も乗っていなかった…
そんな馬鹿な!確かに4階へ行って、停まったハズ…
もしくは1階に停まっていた際に、たまたま誰かが滑り込んで、その人が4階で降りたのかも…
そうだ、きっとそうに違いない!
自分を納得させつつも訳がわからず、キツネにつままれたような気持ちでコンビニへ。無事に買い物を済ます。
何だかエレベーターが怖い…
そう思いつつも、エレベーターのボタンを押そうとしたら、エレベーターが1階ではなく5階で停まっていることに気付いた。
俺がコンビニに行っている短時間の間に、別の誰かがエレベーターを使ったんだな。こんな深夜に帰宅する人がいるんだな。
特に気にせずにエレベーターのボタンを押そうとした次の瞬間。
ウィーーーン。
エレベーターが動き始め、行き先の表示板は「↓」のランプが点灯している。
え!ボタン押してないのに…?
あ、たまたま5階から降りてくるのか!ビックリした…
そして1階に到着して開いたエレベーター。中はもぬけの空であった。
夏の夜の暑さは一気に吹き飛んでいたことは、言うまでもあるまい。
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