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「全く、最後までわがままな弟子だよ。キリコ、わたしも途中まで送っていこう」
そう言って、アヤカさんがファウラの側に立った。彼女も元の場所へ還るのだ。
わたしは覚悟を決めた。わたしの二百倍も生きている彼女の決断は、きっと深い考えの元に下されたものなのだろう。
「敢えてシルファと呼ばせてもらうよ。色々とありがとうね」
「……こちらこそ。後はお願いしますね」
「寂しくなったらまた呼ぶよ。アヤカさんも」
「ええ。ごきげんよう、皆さん」
三人はそのまま光の中に吸い込まれ、粒となって消えた。
「……さて、わたしたちも帰ろうか」
残った面々の顔を見渡す。召喚体のアリーとマイ。シルファの忘れ形見のミルシェとメルリア、それからカスミ。シェリルとエレノア親子。リカちゃん入りのアラネスとリーネ。
大きく歴史が変わった世界で、皆がどうなるのかはわからない。でも、ここにいる全員、承知の上だ。
「ヒカルさん、いえ、ヒカル様。数々のご無礼をお許し下さい」
レティカが深々と頭を下げた。
「別に謝ることなんてないでしょ」
「いいえ、世界を救う戦士様だとはつゆ知らず、暴言を吐いてしまい、恥じ入るばかりです」
「いいって。これから大変だろうけど、こっちのことはお願いね」
「はい、戦士様のことは代々語り継いで参ります」
レティカは隣でぼうっとしているミレイの頭を下げさせた。どっちが母親だかわからない。
「あはは、ミレイさんは縛られっぱなしだったんだから、いたわってあげてね」
「はい。お世話になりました」
ここから世界をまとめるためには指導者が必要だ。彼女なら、うまくやっていけるだろう。
「じゃあ、行こう」
わたしは空間に手をかざし、ゲートを開いた。異次元召喚の応用だ。この先に繋がっている世界がどうなっているか。それは神のみぞ知るところだ。
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