切なる動機

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切なる動機

 素人ながら、物語を書きたいなあと思うとき。  そして実際に、何かを書いてみるとき。  僕の頭の中ではいつも、「切」という1文字を意識しています。  この文字に含まれる感覚は、日本人は特に強いんじゃないかなと思います。(もちろん、切腹のことを言ってるわけじゃなく…)    例えば「切実」という言葉。    英訳すると「serious」「urgent」「pressing」「earnest」あたりだろうか。これらをもっかい和訳すると、真剣、緊急、熱心、本気…。何だか少し、変わってしまった気がします。切実という言葉が持つ独特の雰囲気が、醸されていない。  切。  切迫、切ない、切端つまる、切なる思い…。  それは張り詰めた緊張のような、触れたら指に傷を負うくらいにぴんととがった空気で、心臓をギュッと収縮させる。  考えてみれば、僕が好きになる物語や音楽には、必ずそんな要素がそっと潜んでいたような気がするのです。  ここでは、憧れた作家や好きな作品について、書いていこうと思っています。  批評ともエッセイとも言えない、ただシンプルに好きになったものたちの、これはに過ぎないけど。  自分も何か書いてみたいなあと思わせてくれた感謝と、魅了しやがって、という少しの被害者意識を込めて。
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