魔子だよ

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深い霧につつまれた森の奥の古いお屋敷、まるで妖怪でも住んでいるの?的なここが私の家だ。 私の両親は海外で働いている為、幼い頃から祖母とふたりで暮らしてきた。  家を出るとしばらく薄暗い森の中を歩く。 次第に朝日が差し込み明るくなってくる頃、小さな小川にさしかかる。 小さな橋を渡ると、お花が咲く野道を通り抜ける。   そこでようやくバス停にたどり着くのだ。 はぁ…疲れた。 バスに乗ること約一時間、居眠りをしている間に、今日から私が通う学校へ無事に到着。 そして、ありんこのような整列に混じって、校舎の中へと入ってきた。 はぁ…ようやく到着、確か私はA組…ここか、入ってみようか… 「 おはようございます 」 と、言いながら教室へ入っても誰ひとりとして見向きもしない。 クラスメイトの顔を確認しようとするが、私と目が合った生徒達は皆下を向いてしまう。 そうしているうちに、お決まりの挨拶が教室のあちこちで始まった。 『 …そうなんだ、西中?、あたし東…佐藤恵、よろしく!わたし、鈴木奈々、ナナでいいよ、ねぇレイン交換しよ…… 』 などなど… しかし… わたしの机には誰も寄ってこない。 これも想定通りだ。 自ら行動を起こしてエネルギーを使うタイプではないので、しばらく受け身に徹していただけ。 だがしかし誰も近づいて来てくれない。 このままでは、話し相手を探すことができなくなってしまう。 そう思うと少しだけ焦る。 とりあえず 私の横に着席してプリントを見ている女子に声をかけてみよう。 「 初めまして 芹那魔子です よろしくおねがいします 」 「 はぃ?… うわぁ!…」 プリント女子はとりあえず声の源の方を向いてはくれたが、もう一度チラ見をした瞬間彼女は机ごと引いてしまった。 私とプリント女子の机の距離が、間違いなく30Cmは遠ざかったような気がする。 彼女に何か不快な思いをさせてしまったのだろうか? 何故だ。
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