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「僕がギャツビーみたいだってことですか」
『そうね、だってそうじゃない、遠回りだもの』
「あなたに憧れて、必死で走る練習をしたのに」
『私に憧れたんだ。こんなオバさんに』
「彼女は自分のことをおばさんと言うんです。でも僕はそう思ってなくて、30代前半ぐらいだと思うんです」森君は俺に力説する。
「俺も後ろ姿はみたけど、それだけじゃあなんとも言えない。君は幾つだ?」
「僕は、僕は28です…」
28であることが犯罪かのように、彼は絞り出した。
「いろんな格差があるのかな。彼女とは。年齢とか、走力とか?」
「それこそ関係あります?阿部先生は彼女とかいるんですか?」
「俺?俺の話はいいだろう。彼女はいない。結婚もしてない」
「本当に?」
森君はまるで信じていない様子だ。
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