恋のランニング 〜ザ・ファースト・テイク〜

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「こんにちは〜」そう言ってドアが開いて、制服を着た女子高校生が飛び込んできた。 「おう、こんにちは、元気か?」俺が言う。森君は固まってしまった。 「お客さんだった?ごめん?大丈夫?」彼女が森君を見ていった。 「大丈夫だ。彼は。ああ、ちょうどいい。紹介しよう。姪っ子のヒカルだ。元気もりもりの陸上部員だ」   「ヒカルです。よろしく〜」ぴょこんと頭を下げてお辞儀をする。 「ああ、森です。よろしくお願いします」  森君は目を白黒させて、ひかるを見ていた。  紺のブレザーで、赤い大きなリボン、肩まである黒い髪、黒のカバンにたくさんの俺にはわからない飾りがついている。 「どうした?スランプか?」俺が聞いた 「全然、どんどん練習して、どんどん自己ベスト更新してる。おっちゃんありがとね〜。おっちゃんの腕振りのアドバイスが私の走りに合ってたみたい。ちょっとだけ上体をひねるようにしたら、リズム良く足が出る気がする〜」  そうやってヒカルが腕を振る。 「今はタイムが伸びる時期かもしれん。オーバーワークは禁物だぞ。怪我だけは用心しないと、大会に出れなくなったら、本末転倒だからな」 「わかってるって。ところで、2人して何の話?」 「女子高生の大好物の話をしてる」 「何々?アルフォートのリッチミルク?」 「女子高生ってアルフォート食べるのか?」
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