恋のランニング 〜ザ・ファースト・テイク〜

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「恋愛の相談は専門外ですが、走力アップならば力になれると思います」 「本当に速くなりますかね。僕でも?」 「今はどれぐらいです。10キロ、1時間ぐらいですか?」  彼は帽子の上から頭をボリボリとかいた。 「いやあ、そんなには速くないですよ」  えっ…うーんと… 「10キロだと80分から90分ですね」  大丈夫かな?相手は代表選手クラスだよ。なんの代表かわからんけど。 「追い抜かれないようにするには、ちょっと時間がかかりそうですね」 「だから、別に追い抜かれてもいいんです。その彼女とうまくいけば」 「いや、絶対に抜かれない走力を身につけましょう。そして彼女を振り向かせるのです。そのためのランニングクリニックです。その美人ランナーに負けない、僕たちの目標です!」    俺は彼の手をとってしっかりと握った。彼はあまり気乗りしなかったのか、唇を歪めて申し訳程度にうなずいた。
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