恋のランニング 〜ザ・ファースト・テイク〜

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 俺と森くんは彼のいつものランニコースである、河川敷の土手の上を走っていた。 「この時間ここを走ってたら、その美人ランナーがすごい勢いで抜いていくんやね」 「は…はい…」  彼は返事をするのも目一杯だった。  彼に合わせて、ゆっくりと流しながら走っているのだけれど、それでも彼は息が上がって、肩で息をしていた。彼は青いジョギングパンツをはき黄色のTシャツで、青いキャップをかぶっていた。少し髪の毛がはみ出ている。  売れない若手芸人みたいな印象だ。  もう少しペースを落とそうか、そう思って彼の様子を見ていた時、突然ものすごいスピードで俺の右側をピンクのジャージが走り抜けた。 「あの子か?」俺は彼にささやいた。 「はい…」彼は首をカクンとおった。  確かにいい匂いがする。なんの匂いだろう。柔軟剤かな?それともシャンプー的なもの。長めの髪を一つにまとめて、キャップからたらしている。色は黒じゃなくて、ブラウンに近い感じかな。背が思ったよりも高い、180センチ近くある。  ストライドが長く、ピッチも早い。相当鍛えられている印象だ。あの子に抜かれないようにするには、ちょっとこれは、考え物やな。  後ろ姿だけだけど、多分サングラスしてマスクをしている。有名選手の可能性もある。もしかしてポーラ・ラドクリフだったりして?  日本にはいないか。
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