4.騎士と琥珀

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 公爵家の屋敷に着くと、スフェンが玄関に出迎えてくれた。美しく整えられた庭も豪華な屋敷も、まるで映画の世界のようだ。 「ようこそ、ユウ! ジード、君も一緒とは嬉しい限りだ」 「こちらこそ、貴殿の厚情に心から感謝する。⋯⋯だが、少しは言葉に合った顔をした方がいいぞ、スフェン」 「その言葉を、そっくりそのまま君に返したいな、ジード。今にも噛みつきそうな顔をしているぞ。最近は、ユウの行く場所には必ず君がついてくると評判だ」  玄関前で、二人は微妙な空気を醸し出している。  たしか貴族学校の同級生だって聞いてたけど、あんまり仲は良くなかったのかな。 「スフェン、今日は招待してくれてありがとう。楽しみにしてたんだ」 「ユウ! ああ、その華やかなコートはすごくよく似合ってる。ユウの愛らしい顔立ちや繊細さを引き立てているね」  今日も勘違いだらけの発言が、いっそ清々しいな。俺の手を取ろうとしたスフェンとの間に、すかさずジードが入ってくれた。 「ユウ? ⋯⋯その、耳の琥珀は?」 「ああ、ジードが誕生日のプレゼントにくれたんだ」  そう言った瞬間、スフェンは眉を寄せて唇を噛み締めた。 「まさか、本気だったとは⋯⋯」 「本気?」 「ユウ、何も聞いていないのか? それは⋯⋯」 「スフェン!」  ジードの他を圧するような低い声に、スフェンは黙った。 「琥珀は⋯⋯。ユウの誕生祝に贈ったものだ。それだけだ」  琥珀のピアスがどんな意味になるのか、この時の俺は、全く何もわかってはいなかった。
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