5.招待と砂糖

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 ジードが勢いよく食事をする姿につられてぱくりと食べたら、味がわかった。気がついた時にはとっくに食事を終えた碧の瞳が、ほっとしたように俺を見ていた。  ジードにはいつも助けられている。魔獣から助けてもらったあの日から、ずっと。 「ありがとう、ジード」 「いや、公爵家の食事は王都でも美味だと評判だ。折角の招待だ。気兼ねなく味わった方がいい」  スフェンが、驚いたように目を瞬いた。 「⋯⋯なるほど。君は思ったよりも気が回る。鍛えているのは、体だけじゃなかったんだな」 「お前の言葉は、昔から棘があるんだよ!」  料理人が今日の為に腕を振るったと言う料理の数々は、どれも素晴らしいものだった。何よりも、俺の前に置かれる皿は、量が少ない。これなら何種類も食べられる。 「ユウは少食だと聞いたから、ごく少なめにしてある。もっと食べられそうなら遠慮なく言ってくれ。すぐに用意させるから」 「スフェン、十分だ。ちょうどいい」  ジードが素早く自分の皿に目を走らせたのを、スフェンは見逃さなかった。 「ジード、君の分は通常の量にしてあるだろう。うちの料理で満足できなかったなどとと言われては困るからな!」 「ふん、お前だってちゃんと気が回るじゃないか」  珍しく意地悪な笑みを浮かべるジードに、スフェンは嫌そうに目を細めた。  この二人は仲がいいのか悪いのか全然わからないな⋯⋯。  俺がじっと見ていると、ジードは微笑んで、次に使うカトラリーを教えてくれる。嬉しくなって、いつもよりずっと食が進んだ。 「すごい⋯⋯。どれも美味しい」 「光栄だ。料理人に伝えておこう」  ぱくぱくと食べる俺を見て、ジードはとても嬉しそうだ。そうか、いつもたくさん食べろって言ってるからな。これもジードが隣にいてくれるおかげだ。料理を次々に平らげると、きれいに皮を剥かれた小さな果実が出された。一口食べて、はっとする。  ──甘い。
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