42.不変の愛

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「魔林から第三騎士団がたくさんのバズアを持ち帰ったことも、宮廷では大きな話題になった。さらにユウがバズアを研究しているという話も。ユウが元の世界に帰った後は大騒ぎで、王太子殿下が何とか収めてくださった」 「テオ……」  元の世界に帰る日に、テオは後のことは心配するなと言った。とても優しい人なのに、テオはその能力の為にずっと冷遇されてきた。  エイランでは、魔力が何よりも重要視される。魔力を生み出すものを作るとなると、俺にも価値がつくんだろう。異世界人を大事にするこの国では、その異世界人で利害関係が生まれる。 「……騙すような真似をしてすまない。ユウが戻ったとなれば、宮廷では再び後見争いが起きる。少しでも早く王宮から離れられればと思ったんだ」  「あのさ、ジード。今の俺には本当に何もないんだよ」  保護してくれる場所も、金も仕事も家族も。魔力一つない。  ――もっとよく考えなくていいの? ジードは何でも持っているのに。  俺の呟きに、ジードはきっぱり言った。 「もう十分考えた。ユウが何も持っていないと言うなら俺が用意する」  ああ、これはたぶん、本気なんだろうな。 「そんなこと言うと、何でもねだるかも」 「構わない」 「じゃあ、ロワグロ」 「すぐに手配する」 「バズアも」 「何体いる?」 「黄緑色のウーロに乗りたい」 「……野生の魔獣なら魔林だが」  ジードは眉を顰めて考え込んでいる。本当に、魔林に行って捕まえてきそうだ。  むっとした顔を続けようと思ったのに、段々おかしくなってきて、つい笑ってしまった。ジードがほっとしたように口元をほころばせる。俺の顔色を窺いながら、ベッドの側に立った。 「今言ったのは、全部無し。本当は一つだけ、お願いがあるんだ」 「なんだ?」 「……琥珀」 「琥珀?」 「うん。元の色に戻せないかな。俺が言えるようなことじゃないけど」  首から下げた革袋を外して、中からピアスを出す。沈んだ黄褐色の琥珀に輝きはない。ジードの絶望を宿した琥珀を見るたびに胸が痛む。  
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