42.不変の愛

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「ジードからもらった時、すごく嬉しかった。でも、俺のせいでこんな色になったんだ。本当にごめん」  「……ユウ、その琥珀を手の平に乗せて」  俺はジードに言われた通り、左手にピアスを乗せた。ジードの指先が金色の光を帯びて、琥珀に触れる。魔力がゆっくりと伝わる。少しずつ少しずつ、濁って沈んでいた色が澄んだ輝きに変わっていく。 「琥珀が……」  どんどん透明度が上がって、とろりと濃い蜂蜜のような色になった。凍りついた悲しみや切なさが溶け、ほんのりと温かくなる。黄金色と明るい茶色が混ざり合ってできる美しさに息を呑んだ。手の中の琥珀が二つとも穏やかな輝きを取り戻し、とうとう、あの日受け取った姿が甦った。  ふう、とジードが大きく息をつく。琥珀のピアスを片方取って、俺の耳に当てる。 「やっぱり、ユウによく似合う」 「……俺は、ジードを傷つけたのに」 「ユウの辛さをわからなかったのは俺だ。そして」  ――琥珀はいつも、不変の愛を誓うものだ。  ジードは俺の手にピアスを戻した。そして、大きな手でピアスごと優しく包みこんでくれた。
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