最終章 お霊参り

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「事件の方はどうなった?」  俺が窓側の座席に座りなおすと、永遠子ちゃんが隣に座った。 「鬼の面の破壊を確認して、怪異の調査は終了。村の外れの遺体も回収したし、面に操られていた村人は保護。普通の面を被らされていた人達は、鬼の面を破壊したことで元に戻ったかな。ただ、操られていたから精神が回復されるまでは専門の病院で治療が必要。相談役はタクくんも見た通り手遅れだったけど、旦那であり村長の方は生きていたから回復しだい、事情聴取をしてすべての罪を明らかにするつもりだよ。全部タクくんのおかげ。ありがと」  そう言って抱き着いてきた永遠子ちゃんを静かに見下ろした。服装はまだ白い浴衣のままだし、ところどころ泥で汚れている。  いつも綺麗なスーツを着ている永遠子ちゃんを見慣れているせいか少しだけ新鮮に見えた。俺は他のみんなが話を聞いていないのを確認して口を開く。 「俺の成果じゃない。そもそもこれは永遠子ちゃんが仕組んだことなんだろ」 「ありゃ、バレちゃってたか。いつから気づいていたの?」 「先輩に話を聞いた時にはうっすらと。確定したのは村に入ってから」 「気づいていて付き合ってくれたんだ?」  悪戯っぽく笑う永遠子ちゃんを俺は見た。無邪気に笑う彼女は、俺を成長させる為にこの事件に俺を呼んだ。先輩と大地を巻き込んで。
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