最終章 お霊参り

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 先輩に言われて俺は咄嗟に右腕を背中に隠した。右腕は鈍い痛みと共に墨汁のように黒い染みが広がっている。  面を破壊した時はなんともなかったのに、時間経過とともに現れ始めた。穢れとは霊を殴ると生じるモノ。相手が呪いだろうと祓えば穢れる。  先輩の世話係と、ここでの3人で4人の呪いを祓ったことで、俺の体には着々と穢れが蓄積されていた。まだ腕だけで済んでいるが、祓う数関係なく、なにもしなければ時間経過であっという間に体は真っ黒に染まるだろう。  染まりきったら俺は動けなくなる。それまでに大地と合流するのが最善だとわかっていた。大地なら俺に触れただけで穢れを浄化できる。  だけど、それはここで先輩を見捨てることになってしまう。 「俺は先輩の護衛です。離れません」 「その気持ちは嬉しいけど、私だって何度も修羅場を潜ってきたの。このくらい平気だよ」 「そんなの、わからないじゃないですか! この村はもう、俺達以外信用できる人だっていないのに……。先輩がここに残るなら、俺が背負って連れて行きます」 「だからそれじゃ――」 「柚依チャン落ち着いてー。俺が来たからもう大丈夫」  場違いなほどゆったりとした言葉遣いに、俺と先輩は押し黙った。
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