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2人揃って振り返る。俺の後ろにはこの場所にいるはずのない人が立っていた。
黒のハットとスーツ、シャツは白。靴下でさえモノクロな彼は、モノクローム探偵事務所の所長であり、先輩の恋人、黒田依澄さんだった。
「ど……うして、依澄さんがー?」
先輩が目を見開いて固まっている。開けた口をそのままに依澄さんを見つめていた。こんな先輩を見るのは初めてかもしれない。
先輩はいつだってマイペースを崩さない。その先輩を唯一振り回すことができるのは依澄さんだけなのかもしれない。
「俺は困っている女の子……とりわけ大好きな柚依チャンのピンチには絶対に駆けつける男だからね! どう? 驚いたでしょ?」
ニコニコと笑う依澄さんは俺の横を通り抜けて先輩の前で片膝をつく。先輩の右手をとってウインクする姿でさえ様になっていた。
先輩は依澄さんを見つめ――
「いった! なにするの柚依チャン?」
思い切りその頭に手刀を振り下ろした。
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