最終章 お霊参り

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※ 「うっ……」  右肘までだった痣が、もう肩の辺りまで上ってきていた。浴衣の襟を戻して俺は痛みを誤魔化すように走るスピードを速める。  骨が脈打つような痛みは、穢れを浴びてきたなかでも異様な痛みだった。いつもは火傷のように皮膚の表面だけが傷むのに、今回は骨の芯から痛みが増していく。  額に当たる風は冷たいのに俺は全身に汗をかいていた。汗で張り付く浴衣が気持ち悪かった。  森から村に戻り、向かっているのは広場だ。イベント初日に集まったその場所へ向かうたびに痛みの激しさが増していく。  村は相変わらず人の気配すらなく、俺の足音だけが響いていた。鳥の鳴き声すら聞こえないのが不気味だ。  空は快晴なはずなのに、村は薄暗く夕方だと錯覚するほどだ。皮膚がひりつく痛みは穢れとは別。恐らく、霊の気配だ。  しかもこの感じは相当怒りの情が強い。視える、視えないなんてもう関係なかった。この村には数え切れない霊がいる。鬼の面に贄にされた霊が成仏することもできずに彷徨っているのだろう。  そして霊達は、村から出られないのならと生きている俺達を道ずれにしようとしている。
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