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「くそっ。『お面の怪異』だけじゃないのかよ……」
広場には永遠子ちゃんと大地がいるはずだ。そこからは霊の気配に紛れるようにして別の気配がある。罠かもしれない。
鬼の面があるということは、相談役もそこにいる。永遠子ちゃん達を生贄にするのか、それとも何故か狙われなかった俺を待っているのか。
きっともう俺と永遠子ちゃん達が仲間ということはバレているだろう。俺は見えてきた広場へそのまま飛び込んだ。
「永遠子ちゃん! 大地!」
「タクくん」
「相棒!!」
広場の中央に永遠子ちゃんと大地が張り付けにされていた。太い木の杭に後ろ手で拘束されている。両足も縄で杭に結ばれていた。
永遠子ちゃんは拘束されているとは思えない余裕の表情。対して大地は俺を見て安心しきった顔をしていた。2人はまだ正気だし、面も被らされていない。
「2人とも無事でよかった」
「タクくんこそ。柚依ちゃんは?」
「そうだ、柚依さんも捕まったのか」
自分達よりも真っ先にここにいない人間を心配する。そんな2人に俺は、大丈夫だ、と答えた。
それ以上言えなかったのは、俺達を囲むようにどこに隠れていたのか村人が現れたからだ。
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