最終章 お霊参り

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 相談役は失意のなか、鬼の面の言葉を聞いた。そして顔さえあれば息子が蘇ると思った。だが、なかなか似た顔なんて見つからない。  そんななか、イベント参加者の中から息子の若い頃にそっくりの俺を見つけて、今回の事件を思い付いたのだろう。 「あんたの目的はわかったけど、だったらなんで先輩と偽物を入れ替えた時に俺には何もしなかった? あの時鬼の面を被せればこんな手間はいらなかっただろ」  俺は先輩が連れていかれた時に起きることさえできなかった。意思のない時に鬼の面を被せれば、永遠子ちゃんと大地を囮にしておびき寄せるなんて回りくどいことはしなくてすんだはずだ。 「そうせざるを得なかったのよ。あなたの力は強すぎた。鬼の面を被せるだけではあなたの顔を喰えない。だからあなたに村人の穢れを受けさせて力を弱めたの」 「へー、見る目だけはあるな」 「あなたに褒められても嬉しくないけれど。でもまぁ、その様子なら結果は大成功ってところかしらね。本当はもう立っているのも辛いんじゃない?」 「前言撤回、あんたの目は節穴だわ」
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