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『若くて力の強いお前のような器をずっと探していた。我は自分からは動けないからな。みずから飛び込んでくるなんて、お前は物好きだ』
「そりゃどーも。誰かさんが好き勝手人を喰わなきゃ俺が来ることなんてなかったんだけどな」
『仕方がないだろう。動く為にはエネルギーが必要。それが我にとっては人間の顔だっただけのこと』
「燃費が悪い奴は大変だな」
『お前の顔を喰えばいらなくなる』
俺と鬼の面は睨みあう。すぐに動かないのは俺の反撃を警戒しているのか。幸い、俺の両腕は自由だ。
気道を押さえれば無抵抗になると勘違いしているようだ。俺は短く息を吸い、体中に力を入れる。
「残念だったな。そう簡単にいくと思うなよ!」
俺は鬼の面の右手を両手で掴んで左側に全力で引き寄せた。バランスを崩した鬼の面とともに起き上がって地面に抑え付け、今度は俺が馬乗りになる。
『ほう……まだそんな力が残っていたか。だが慢心だな。我が自由に手下を動かせることを忘れている』
鬼の面は永遠子ちゃん達をいつでも殺せると言いたいのだろう。だが、こいつは勘違いしてる。
「慢心してるのはどっちだよ。本当にできるのなら俺に言う前に先にやるべきだったな」
『待て……何をする』
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