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「怪我は……?」
「ねぇよ! それより相棒の方が穢れで真っ黒だ。くそっ。上手くいってくれ――!」
大地が俺を抱えたまま、覆いかぶさった。大地にある浄化の力。大地と触れた部分から温かい光で零れ落ち、体中を引き裂きそうな痛みは和らいでいく。
コントロールできないと言っていたが、もう充分に使いこなせているじゃないかと思う。大地が体勢を元に戻した時にはもう、俺の全身に広がっていた黒い痣は消えていた。
「すごい! 大地くんパーフェクトだよ!」
「ありがとうございます。永遠子さんの指導のおかげですよ」
「ううん。これは大地くんの努力のおかげ。タクくんを助けてくれてありがとう」
俺の隣にしゃがんだ永遠子さんは、顔を覗き込んでくる。
「うんうん。顔色は悪いけど、少し休めば大丈夫そうだね。よかった」
「永遠子ちゃんは怪我、ない?」
「ないよー」
「でもどうして拘束が?」
「それはほら、助っ人のおかげ」
永遠子ちゃんにつられるように視線を動かせば、先輩とともに広場で地面に転がっている村人を観ている依澄さんの姿があった。
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