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目を開けると、窓の外の景色は赤く染まっていた。
「なっ……」
すぐに体を起こすと、そこはバスの車内のようだった。俺は後部座席に寝かされていたらしい。前の席に座っていた永遠子ちゃんが座席越しに顔を出した。
「おはよー。とは言っても、まだ夕方だけどね」
「けっこう寝てたんだな……」
「うん、それはもうぐっすり。体はどう?」
「元通りとまではいかないけど、だいぶいい感じ。他のみんなは?」
「それは……ほら」
永遠子ちゃんが口元に人差し指を当てて、前方を指さした。見れば、前の方の席には先輩と依澄さん、真ん中辺りの席に大地が座っていた。先輩は依澄さんに寄りかかり、依澄さんはタブレットを操作している。大地は腕を組んで舟をこいでいた。みんな大きな怪我もなさそうで安心する。
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