最終章 お霊参り

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「俺の為なんだろ。でも、他の2人を巻き込むのはやめてくれ」 「なんで? その方がタクくんもやる気になるでしょ」  永遠子ちゃんは普通の常識を持ち合わせていない。すべて自分の目的の為に駒として使う。永遠子ちゃんは先輩や大地のことを大切に思ってはいても、俺と姉ちゃんと天秤にかけると駒として見てしまう。  きっと永遠子ちゃんもそれは自覚している。わかっていて、俺の為に利用する。 「そうじゃなくてもやる気ぐらいある」 「嘘。だってタクくんは大地くんと会ってから変わったもん」  頬を膨らませる永遠子ちゃんは実年齢より幼く見えた。永遠子ちゃんは物心ついた頃から霧原永遠子として生きなければならなかった。  精神面では俺より幼くなる時もある。本人はそれをわかっていてあえて俺にだけ見せているようだ。  だから、俺は決めた。俺が永遠子ちゃんより強くなって1番になる。そうすれば永遠子ちゃんは役目から解放されて普通の女性になれる。その為なら、俺はなんだってできる。  たとえ大地や先輩を利用することになったとしても、手段を選ぶ暇はない。永遠子ちゃんが俺を助けてくれたあの日から、この想いは変わらない。  いや、変わったこともある。
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