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きみちゃんは被虐待児だった。お母さんと弟の3人暮らしで、きみちゃんだけがいつもお母さんに殴られていた。近所の人はみんな知っていた。みんな知らないふりをしていた。
きみちゃんは学校でもいじめられていた。きたなくて、くさくて、ぶさいくだったから。教科書を隠されて、靴を隠されて、机に油性ペンで落書きされていた。トイレに顔を突っ込まされていたこともあった。
きみちゃんは、小さい頃は僕と仲が良かった。幼稚園ではいっしょに遊んで、手を繋いで一緒に帰った。きみちゃんは可愛くて、優しくて、僕はそんなきみちゃんが好きだった。ずっといっしょだよ。そんな約束をした。
きみちゃんに弟が生まれてから、きみちゃんは幼稚園に来なくなった。ある日家を覗いたら、お母さんの金切り声ときみちゃんが必死に謝る声が聞こえてきた。何かを殴る音も聞こえて、僕は逃げ出した。
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