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そんな声が扉の外で聞こえるのだ。扉を開けてはいけない。きみちゃんはどこにもいない。きみちゃんは死んだ。きみちゃんは死んだのだ。きみちゃんはもういないのに。
耳を塞いでうずくまる僕の耳に、ごとん、と何かが落ちる低い音が響く。ドアノブが壊れて落ちた音だ、と気づくより先に、背後に何かが立つ気配がする。
つかまえた。
細くて冷たい指が首を撫でる。信じられない力で首を絞められて身動きも取れないまま、耳元で声がする。
これでずっといっしょ。
きみちゃんの声は、あの懐かしい小さな頃の可愛い声で。
僕はそのまま意識を失った。
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