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第一印象は格好良くも正直怖そうな人だと感じたけれど、そんなの見た目だけで、普通に優しい人なんだろう。 仲良くなれたらいいな。 相手は荷物を整理し終え椅子に座ると、不意にこちらへ振り向いた。 何だろうか、と首を傾げる涼太。 「名前は?」 その質問が嬉しくて、笑みが零れる。 「本田涼太!よろしくな!」 元気いっぱいに答えた。 良い一年のスタートが切れた気がした。 本鈴が鳴る。 涼太も相手の名前を聞きたかったが、どうせ自己紹介で分かるか、と開きかけた唇を閉じた。 「席着けー」 教壇側の教室の扉が開き、担任が入室する。 その姿を捉えた女子生徒の大半が黄色い声をあげ、男子生徒数名も嬉しそうな声をあげていた。 涼太には彼らの気持ちが理解できないが、確かにこの谷矢(たにや)と言う20代後半の男性教師は、生徒からの支持が厚い。 休み時間の廊下で見かける人集りの中心には、必ず居る人物だ。 「あー、はいはい。お前らよろしくなー」 谷矢は気力のない口調で朝礼を進行し、終わり頃に自己紹介をする時間を設けた。 生徒らは出席番号順に一人一人起立しては、名前と一言紹介をしていく。 やがて涼太の前の席まで来て、目の前の長身の男子生徒が起立した。 「細崎(ほそざき) (けい)」 教室内が騒つくのも無理はない。 自分も感心するほど、圭は格好良い。 身長が高くて肩幅があり、広い胸、節張った手指に長い脚。 俳優、芸能人と言われても頷ける、その容姿と雰囲気。 「?」 皆、名前の後に一言言うのだが、圭は沈黙していた。
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