結の描く未来

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結の描く未来

 「結は決まってる?」  私が亜実ちゃんに大学卒業した後の話をした時、彼女は何も答えてくれなかった。そして、私に聞き返した。  「うん…一応」  これは、私の未来の話…  「私は、管理栄養士になって。皆を笑顔に出来る仕事がしたいんだ」  元々料理が好きで、高校生の時は、自分でお昼を作るようになっていた。私立に通わせてもらっているから。という理由で始めたのだけど、作ったご飯を美味しいと言われた時。心が温かくなって、もっと美味しいのを作ってみたい。という思いが生まれた。  それに気付かせてくれたのは、紛れもない恋人の大我君だ。大我君は好き嫌いが激しく、食べられるものも限られていた。好きな物は、肉、ジャンクフード、インスタント食品。嫌いなものは野菜と魚。納豆  これは、大我君自身の体質によるものが大きい。 大我君は鼻が利く。その影響で、私の鼻では気付かない匂いに誰よりも反応する。嫌いな野菜のほとんどが、ネギ、玉ねぎ、柚子。といった香味野菜で。それらが入ったものは一切口にしない程嫌いなのだが…  大我君は私が作った料理だけは、残さず全部食べていた。  「好きな奴が作った飯は、なんだって旨いんだよ」  そう言って、大我君は嫌な顔をせず私が作ったご飯を食べていた。どんなに食べる気分じゃなくても、体調が悪くても、彼は私の作ったご飯を美味しいと言って食べてくれた。   私も、大我君が苦手な野菜や魚を少しでも食べてくれるように。と工夫を重ねた。 どんな工夫をしても、鼻が利く大我君にはすぐバレてしまうのだけど…美味しそうに食べる大我君を見ていると、とても嬉しくなる。 いつも美味しそうに私のご飯を食べる大我君の姿を見て。料理は人を笑顔にする事が出来る魔法だと思うことがある。 大我君は目付きが鋭い上にコミュニケーション能力がかなり低いので、色々と誤解されやすいのだけど。私のご飯を食べている間はずっと笑顔。 熱いものが苦手で、冷ましてからじゃないと食べられない猫舌なところも。 骨付きのお肉が出ると、ここが1番旨いんだよ。と言って、軟骨まで綺麗に食べる所も。 リスみたいに 口一杯に頬張って、お代わりをするところも。 私のご飯じゃないと見られない大我君の可愛い一面だと、私は思う。 だから、私は管理栄養士を目指した。美味しいご飯で、皆が笑顔になれるように。と… 「まぁ、試験受からないとなれないんだけどね…」 そう。管理栄養士は試験に受からないとなれない。まずは、その試験に合格しなければ、夢も叶えらない… 「そっか…決めてるんだね。この先の事」 亜実ちゃんがそう言って、どこか不安そうな顔をして言った。 「大我君とはどうなの?」 亜実ちゃんの質問に自分の顔が熱くなっているのが分かった。 「大好きだよ…でも、ちょっと怖くて」 大我君は、遠距離になっても。月に一度必ず私に会いに来てくれる。それは大好きだからなのだろうが、でも、時々考えてしまう時がある。  私は本当に彼に愛されているのか。と…    
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