十二月 親衛隊は推しが卒業したら解散するルール

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「武田先輩。お願いですから消えてください」 「嫌だ」 「先輩、はっきり言って邪魔です!」 「上杉。お前、誰に向かってそんなクチきいてんだよ!」  はぁ、もうさっさと話し合いを終わらせてくれよと吉良は思うが、上杉も武田も両者どっちも譲らない。 「吉良とふたりきりとか許させるわけねぇだろ!」 「先輩こそ! 俺が見てるの知ってて、吉良先輩に手ェ出しましたよね?!」 「は? なんもしてねぇし」 「ふざけるな。よくも人前で吉良先輩に抱きつくようなことをして……っ!」  上杉は見ていたのか。でもあれは抱きついたんじゃない。武田が吉良の背中のゴミをとっただけのことだ。  でも、吉良も抱きつかれるのではないかと勘違いしたくらいだから、遠目で見ていた上杉にはそう見えても不思議ではない。 「武田。お前先に寮に帰ってろ。俺は上杉と少し話をしてから帰るから」 「えっ、吉良っ?!」  武田はとても不安そうな顔をする。 「悪い。また明日、学校でな」 「いやっ、俺、待ってるよ。吉良が話終わるまで待ってるから……」  そんなの悪いだろと思うのに、武田は「待たせてくれ」と譲らない。  まったく、寂しがり屋にもほどがあるよな。 「吉良先輩っ! ありがとうございますっ! 行きましょう!!」  一方で上杉は嬉々として吉良の背中を押して、空いていた部室のミーティングルームの中へと誘った。
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