1 新世紀

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1 新世紀

 意味不明だった例のアニメの、主人公の心情どころか、司令官の気持ちまでわかるようになってしまった今日この頃。 「すみません、美術の夏目先生はもうお帰りですか」  プリントを仕分けしていた手を止めて振り向くと、見知らぬ生徒が立っていた。清潔感のある黒髪に、きちんと規定通りのスカート丈。 「いや、どうだろ……」  少なくともここには絶対いない。と思いながらも、即答は避ける。講師席は私の席からは遠い。一応、教員室の奥を覗くようなふりをするが、そこを見たって意味がないことは分かっていた。 「なんせ万年引きこもりだからねえ」  苦笑混じりにそう答えると、びっくりしたような顔をして私を見る。 「え、ど、どういうことですか?」  純粋な反応にハッとする。 「いや気にしないで。どうしたの? 何か急用?」 「美術部のことでご相談があったんですけど……」  またこの季節がやってきたか。高2の引退も迫り、引き継ぎをしたばかりの新部長たちが、顧問とのやりとりをいちから始めるのだ。 「もしかして新しい部長さん? 美術部の」 「はい」
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