1 新世紀

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 そうか、この子が次年度の美術部部長か……口には出せない思いと共に、しみじみ見つめる。  私は表向きは英語部顧問なのだけど、諸事情あって美術部の影の顧問も兼ねている。去年の部長も一昨年の部長も、私が誠意を尽くしてサポートしたつもりだった。 「あの、何か……?」 「いえいえ。部長さん大変だね。頑張ってくださいね。困ったことがあったら何でも言ってね」 「は……ありがとうございます」  私の「含み」にも気付かず頭を下げた。こんな真面目で純粋な方に夏目を添えるなんて心配。 「夏目先生はね、美術室の奥にいると思うよ」 「さっき覗いたんですけどもう暗くて……」 「あ、違う違う。奥って言うのは、その奥の部屋のこと。前の部長に聞いてない?」 「その奥?」  水分の多い黒目でじっと宙を見ながら、何かを思い出している様子。 「顧問については、なんていうか、ネタっぽい引き継ぎしかなくて……」  彼女は、そのネタが現実だとはまだ知る由もないのだ。聞けば、先週からずっと夏目を探しているが会えていないという。
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