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時々、飛び出していた枝で足を切った。
怯えながら、それでもゆっくり森を歩いて行く。
行く当てなんてないけれど、進むことは止めなかった。
どれだけ歩いたのか分からない。
もう何時間も歩いた気がするが、空はずっと真っ暗だ。まだ数分、数十分しか経っていないのかもしれない。
倒れた幹を乗り越えるために、太い幹をよじ登った。
ジャンプして下りようとしたとき、遠くに明かりが見えた気がした。
顔を上げると、遠くに小さく明かりが見えた。等間隔に並んだ明かりが、家の明かりだと気がついた。
(あそこに行ってみよう)
深い森の中に家があるなんて知らなかった。一体、誰の家だろう。村があるのだろうか。
リリアンは好奇心に釣られて、明かりの方向を目指した。ときどき木に登り、方角を確かめながら進む。
手足は切り傷だらけだったが、幸いどの傷も深くはない。零れそうになる涙を拭いながら、足を動かし続けた。
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