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一体何のことだろう。
リリアンの頭の中は疑問でいっぱいだった。
とりあえず、この屋敷ではパーティーを開かれている、ということは理解した。
「でも、あの、わたし、パーティーに招待なんてされてません」
リリアンがためらいがちに言う。
勝手に敷地内に入り込んだことを怒られてしまう、と体が強張る。ワンピースを両手で強く握りしめた。
「「いいえ、あなたは招待されていますよ、リリアン様」」
2人は声を揃えて答えた。
その口元は、三日月形に笑みを浮かべている。リリアンは作られたその笑顔に寒気がした。優しさより、怖さを感じた。
「どうぞ、お通りください」
「どうぞ、お楽しみください」
左側、右側の順番で歓迎の言葉を述べる。同じ動きで、後ろの重たそうな両開きの扉を開けた。
廊下の壁には、等間隔にロウソクの明かりが灯されている。
見張りに目を向けると、もうリリアンを見てはいなかった。姿勢を正して、まっすぐ前を見ている。
唾液を飲んで、意を決して屋敷に足を踏み入れた。
数歩進んだところで、背後でバタンと音がした。リリアンは驚いて振り返る。扉が閉まったのだと気づき、もう後戻りできない、と直感的に分かった。
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