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だから、なっちゃんがアホなのは、ある意味私のせいなのかもしれません。かなり必死に頼みました。必死に必死に頼んだ結果がこれなのかも知れません。
「ごめんな、なっちゃん」
でも、元気で明るくいてくれればええねん。そんな事、言葉にできなくて伝えられへんけど。もう、あんな夜は懲り懲りやで。生きた心地せえへんかったわ。
だから元気で…… アホでええから。
ほら、なっちゃん、またアホな事を言い出しました。
「わい、びようせいけい。じっちゃんに教えてもらったで。なんか、顔とか体とか手術して綺麗にすんねんて」
「コラ! おじいちゃんに何聞いとんよ」
あ、ここでのおじいちゃんは雪生おじいちゃん、お父さんの方のおじいちゃんです。
「じっちゃんが心配しとったで、姉ちゃん整形したいんかって?」
「ハァ〜?」
なんか面倒なことになりそうな予感がして顔が歪みます。
「そんな心配せんでもええで。せいけいしてもしなくても。姉ちゃんは、わいの姉ちゃんや。せいけいしても姉ちゃんやから」
「アホ!」
なっちゃんももう少し大きくなると、アホじゃなくなるんでしょうか?
なるんでしょうね。信じられへんけど。
あ、そうそう、一つ付け加えておくと、なっちゃんはアホやけど、優しい所もあります。5月の私の誕生日に、絵本をプレゼントしてくれました(お代はおじいちゃん持ちだけど)。あの「ウサギが頑張る絵本」です。なんでもビリビリになってた絵本が気になってたらしいのです。まさか自分がビリビリにしたとは思ってない様ですが。
「ありがとう、なっちゃん」
私もなっちゃんも1歩1歩大人へ近づいていく。
いつまでも同じ1歩1歩を、だから私はいつまでもなっちゃんのお姉ちゃんで、なっちゃんは私の弟。だから一緒に、いつまでも私の弟で元気に生きて。
アホでええから。元気に……
でも、ちょっとだけ、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、賢くお利口になるといいんだけどな……
Fin
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