姉ちゃん

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 自分に姉がいるって知ったのは、まだ幼い頃だった。  両親がどうして姉を手放したのか、詳しい話を聞く勇気はなかったけど、「自分には姉がいる」その事実は幼い俺の心にしっかりと根を張った。  俺の家庭環境は劣悪で、それに耐えられたのは「自分には姉がいる」という、うっすらとした光があったからだ。  姉ちゃんってどんな女の子だろ?  でも、どんな女の子でも……俺のこと知ったら、きっとすっごく可愛がってくれるはず!  俺だって、早く大きく強くなって姉ちゃんのこと守れるぐらいになって……いいや。その前に姉ちゃんを探さなくちゃ!  そう思ってたけれど、なんとか成人で俺は姉を探すことを恐れた。  もし、探し当てても拒絶されたら? もし、俺が重荷や邪魔にしかならなかったら? もし姉ちゃんが悪人だったら? もし、もし……もし。  でも、ある日その人は奇跡のように俺の前に現れ、呆然とする俺に俺とよく似た顔で微笑んで、言う。 「ずっと探してた……こんにちは、私の弟」
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