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「お姉ちゃん! 起きてよ、お姉ちゃん!」
いつのまにか眠っていたらしい。妹のアンナに体を揺すられて、私は目を覚ます。
「あら、アンナ……」
「『あら』じゃないよ! 着いたみたいだよ!」
航行中は微妙に振動していた船体が、完全に静まり返っている。確かに、目的の惑星に到着しているようだ。
他の二人の方に視線を向けると、エミィと目が合う。彼女は微笑みながら、小さく頷いていた。
「エミィの情報によれば、ここは完全自動化の星。リゾート惑星だから、怖い監視兵もいないんだよね?」
ちょうどアンナの言葉と同時に、貨物室の扉が開き始める。
突き刺すような寒風が吹き込み、驚きの光景が視界に入ってきた。
「嘘……!」
真っ黒な骸骨顔の機械兵たちがズラリと並んで、こちらに銃を向けていたのだ。
「ようこそ『スラム7』へ。新たな労働力として、あなたたち全員を歓迎します」
中央の機械兵が歯をカチカチ鳴らしながら、人間みたいに流暢な言葉で告げる。機械兵特有の電子音なのに、なぜか少しエミィの声と似ているようにも聞こえた。
「『あなたたち全員』って、どういう意味? 私だけは助けてくれるんじゃないの?」
「そうよ、話が違うわ! ……え?」
ほぼ同時に叫んでから、アンナとリサが顔を見合わせる。二人とも「あなたも?」という表情だった。
ああ、密告者は私だけではなかった。みんなエミィを信じていなかった……。
自嘲気味に呆れながら、ふとエミィを見つめれば、彼女は表情を失って、体の動きまで停止していた。
「どうしたの、エミィ?」
私はこの時、まだ真相に気づいていなかったのだ。
数年前からエミィはスパイ・アンドロイドと入れ替わっていた、ということに。
(「密航者の中の密告者」完)
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