本当に優しいのはだれ?

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「おじさん、おばさん、父さん、母さん」 呼びかけるりーくんの横で、お姉ちゃんも立ち上がる。 「全員揃ってる時に、話しておきたいんだ」 何? 全員が注目する中で、りーくんは話し始めた。 「俺たち、結婚することにした」 えっ!? 私は、にわかには信じられなくて、そのままキョトンとりーくんとお姉ちゃんを交互に見つめる。 「おじさん、おばさん、必ず歩花(あゆか)を幸せにします。俺たちの結婚を許していただけますか?」 かっこいい…… お姉ちゃんの手をきゅっと握り、真っ直ぐにお父さんたちを見つめるりーくんが、とってもかっこよくて、眩しく見えた。 「それはもちろん、2人が一緒になってくれればいいなって昔から話してたし、俺たちに依存はないけど、大丈夫なのか? 早すぎないか?」 23歳で結婚って、早いの? よく分からない私はお父さんとりーくんたちを見比べる。 「今まで20年一緒に過ごしてきて、何度も喧嘩したり仲直りしたりして、それでもずっと一緒にいたいと思ったんです。これ以上、待つ必要はないと思います」 うんうん。 7年も付き合ってるんだし。 「理太郎(りたろう)、ちゃんとあゆちゃんを守っていけるのね?」 おばさんが言う。 「もちろん。仕事は大変だけど、家事も2人でやるよ」 りーくんの返事を聞いて、大人たち4人は顔を見合わせる。 「りーくん、歩花(あゆか)、おめでとう。お母さんは2人を応援するわ。幸せになるのよ」 お母さんがそう言うと、その場の空気が穏やかになった。 式はどこであげるとか、日取りはいつがいいとか、みんなでスマホやタブレットでああでもないこうでもないと楽しそうに相談が始まる。 それを見て安心した私は、 「ごちそうさま」 と箸を置いて、席を立った。 「舞花(まいか)、どこ行くんだよ?」 せいくんが、呼び止める。 「部屋。宿題やってくる」 私はそれだけ言い置いて、トントントンと階段を駆け上がる。
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