デブリードマン

　ある夜、私は二階の廊下に上ってきて考えた。この間取りのように私たちは同じところから生まれて二つに分岐した。朝日のあたる私の部屋と西日のきつい兄の部屋。どちらも同じ広さだ。南側には大きな窓があり、小さなベランダがついている。フローリングの床にクローゼット、白く新しいエアコン。子供には大きすぎるほどのベッド。
　私たちは同じ場所で育った。同じ保育園、同じ小学校、同じ中学。同じデザインの表紙の卒業アルバム。歩んできた道は全く同じだ。

　ただ兄とは二つ歳が離れていたから、兄のほうが少し先を歩いていた。

　運動よりも勉強が得意だった兄は私よりも早く宿題を終えて、リビングのソファーでよくゲームをしていた。兄が私に勉強を教えてくれることはなかったが、私が宿題を終わらせるとよく一緒にゲームで遊んだ。仲良く車の後部座席に乗って、家族４人で出かけたこともある。