デブリードマン
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『あなたが生きていてよかったわ』 線香と喪服の古臭い匂いが鼻につくなかで、私は母がそう言ったように思った。兄の葬儀を終えて家に帰ってきたときのことだ。 「ミサキがいてくれて本当に良かった」 母は私を抱きしめながら、今度ははっきりとそう言った。 私は何も言えなかった。だから母が離れるのを待って、学校に行くでもない日に着た制服を脱いだ。 私の兄。赤間テツロウは死んだ。
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