前編

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前編

【登場人物紹介】 ・ニカイドウ・アキト(α・二十七歳・大学院生) α父×α母から生まれた「生粋のα」。その「生粋のα」であることを何よりも誇りとしている。 将来は研究者になることを期待され、現在は国内の最高学府・東帝大学の博士課程に所属し、研究に勤しんでいる。しかし今一つ研究業績を上げられておらず、焦りを募らせている。 「理性的に生きること」をモットーとしており、発情期のΩが発するフェロモンに当てられ、我を失って性的行為に溺れてしまうαの習性を忌み嫌っている。 α女性以外との恋愛・結婚を望まず、Ωの存在自体も汚らわしいものと考えている。 したがって、Ωと番を作る行為自体に興味も関心もなかったのだが、指導教授のオカダに誘われて訪れた新宿二丁目でケンシロウに無理矢理クルージングスポットへと連れ込まれる。 ・マナベ・ケンシロウ(Ω・二十歳・売り専ボーイ) α父×α母との間に生まれた一人息子であり、有能な「生粋のα」であることを期待されていたが、後にΩの性を持っていることが判明する。 そのため両親からの愛に恵まれず、高校を中退し、新宿二丁目で売り専ボーイに身をやつす。 番となるαを見つけ、人間らしい人生を手に入れるためには手段を選ばない。売り専の客やクルージングスポットで出会うαたちを物色し、番として最適な相手を探し続けている。 小柄で愛くるしい見た目に反し、その性格は計算高く、人を見抜く力にも長けている。遊び目的で手を出して来るα相手には決して首輪を外さず、安易に番になろうとはしない。 そんな中、二丁目のクルージングスポットの前に佇むアキトの姿を目に留め、彼が自分にとっての運命の番であることに気が付く。 ・エツコ(Ω・バーMonster Boyのママ) 新宿二丁目でバーMonster Boyを経営するママ。遊び目的でΩに手を出そうとするαたちには滅法当たりが強い。一方、ケンシロウに対しては実の母親のように愛情深く接している。 ・オカダ(α・四十二歳・アキトの指導教授) 新進気鋭の大学教授であり、見た目も大学教授という立場にある人間にしては若々しく、ダンディーなイケメン。 表向きはΩへの差別解消に賛成であると述べているが、その実、Ωなど社会の最底辺の存在であると見下している。同じαでもΩの親から生まれた者に対する見下しも人一倍強い。 二丁目遊びを繰り返し、Ωの美少年たちを性処理用具として扱い、遊んだ後はごみのように切り捨てる。 ・サダオ(α・アキトの父) 脳神経外科医として一線で活躍する医師であり、αとしてのプライドも高い。αたるもの「理性的であるべき」だというアキトのモットーはサダオから受け継がれたものである。αであることに対するエリート意識は誰よりも高く、Ωを同じ人間とは考えてはいない。 ・サチ(α・アキトの母) サダオとの間に一人息子アキトを設ける。「生粋のα」であるアキトを一人前のエリートに育て上げるため、幼少期から教育ママとしてアキトに英才教育を施して来た。
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