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「わあ、どうもありがとう」
トモちゃんは大きく口を開けて、うれしそうに花を受け取った。
その顔を見て、私もうれしくなる。
薄い紫色のチェックのシャツに、黄色いバラのちょっとした花束が、きれいに映える。
金髪で肌に透明感があるトモちゃんにスマホを向けると、かわいいポーズをとってくれた。
「どーお?」
画像を確認するために身を乗り出して顔を近づけてくる。いいにおいがする。
私の呼吸が少し、大きくなる。
トモちゃんの本名は友哉(ともや)。兄の彼氏。今日が誕生日なので、私は花屋でプレゼントを買ってきた。
トモちゃんの後ろには、緑色の焼酎の瓶がずらりと並んでいる。
「いつものでいいの?」
私がうなずくと、氷が詰まった背の高いまっすぐなグラスに、透明な韓国焼酎を注ぎ、ピンクイエローの濃いグレープフルーツジュースを入れ、マドラーで軽くステアした。
それを、ネコのイラストが描かれているコースターの上にのせ、ウオータークラウン型の小さいガラス器にナッツとドライフルーツを入れて出してくれた。
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