無断転載しただけなのに

　とにかく早く帰りたかった。
　白野がこのことを誰にも言うなと言うのであれば、それに従うつもりだし、お金を払えと言うのなら親に怒られるのを覚悟でお願いするつもりでもあった。

　だが。

「もう遅い。謝って許される段階はとうに過ぎました」
「え……」
「殺られるくらいなら殺る。俺は俺の道を行く。誰に止められても、俺は俺だけの道を歩くんだ。君、そう言ってたよね」
「……」
「おりて」
「え？」
「車からおりろって言ってんだよ、このクソガキ」

　……殺される？　そんなまさか！

　慌ててドアを開け、転がるようにして車外へと飛び出す。途端にむわっと草の匂いが鼻をつき、蒸れた空気がべったりと明音にまとわりついてきた。

　運転席から白野がおりてくる。