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白野はその場でペットボトルのキャップをひねり、一気にごくごくと半分ほど飲みくだした。
蛾の命は一瞬で終わりを迎えたが、明音はどうだろう。この暑さだ。三日もつかどうか。だが、そんなことは白野には全く関係がない。
ただ、目の前のうざったい虫を払っただけ。
ペットボトルの残りを飲み干し、ゴミ箱へとそれを叩きつける。
ジージーとうるさく鳴く蟬の声を聞きながら、白野は運転席のドアを開けた。まだ夏は始まったばかり。
あと何匹、虫を殺せばいいだろうか。
そんなことを考えて、白野はひとり笑った。
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