無断転載しただけなのに

　クーラーの吹き出し音がうるさい。室温は27℃に設定してあるが、首すじがべたっとして気持ちが悪かった。それでも白野(しろの)瑶(よう)は室温をさげることなく、ただ黙ってパソコンの画面を見つめた。

　最近の中学生は、犯罪者予備軍の集まりらしい。スマートフォンの普及率が急激にあがったことも原因のひとつだろうが、厄介なことに近年では学校からタブレット端末が支給されるようになってしまった。

　そのせいで、親からスマートフォンを持たされていない子どもが、学校のタブレットを使いインターネットで好き放題暴れまわっている。白野瑶も、その被害者のひとりだった。

　ようやくイラストレーターとして、なんとか食べていけるようになった。名前を売るために今までインターネットにアップしたイラストは数知れず。今となっては、その全てが白野瑶の作品であり、昨年には個展だって開いた。イラストを使ったグッズも数多く発売されている。