無断転載しただけなのに

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 しかしながら、そのイラストを勝手にアイコンやヘッダーに使う輩もあとをたたない。無断転載というやつである。誰かが勝手にイラストを複製し、それをアイコンやヘッダーに使う。すると、それを見た、また別の誰かがそれを複製し、動画のサムネイルや小説の表紙に使う。そうやってねずみ算式に増えていく複製イラスト。もはや、誰が作者かわからない。インターネットの海で、白野瑶のイラストは対処が追い付かないほどに増殖しきっていた。  大概の絵師は、それを諦める。無断転載など個人がいちいち取り締まれるものではないと、自分の権利を放棄してしまう。だが、白野瑶は違う。  何年も膨大な時間と費用を費やし、血の滲むような想いをして描き続けてきた作品だ。それを無断で使われるのは途方もなく気分が悪い。アイコンやヘッダーならまだしも、どこの誰が書いたかもわからない稚拙でつまらない小説の表紙に使われるなんて侮辱もいいところだ。それは、自分の娘をレイプされたも同然である。  だから白野瑶は許さない。  例え相手が小学生だろうと、中学生だろうと、一切の容赦をしないつもりだ。
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