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「──あの、お母さんはどんな感じなんですか?」
小水から渡された炭酸飲料のペットボトル。そのキャップをひねりながら明音は小水に尋ねた。
「くも膜下出血ってわかる?」
「あー。なんとなく聞いたことはあります」
「発見が早ければ一命をとりとめることはできるけど……たぶん、障害が残るでしょうね。わたしもまだ詳しいことは聞いてなくて、くも膜下出血だってことしか……」
クーラーの効いた車内。明音はすーっと汗がひいていくのを感じていた。お母さんが死ぬ? そんなバカな……。ごくごくと炭酸飲料を喉に流し込み、窓ガラスの外を見つめる。
明日から夏休み。つい数十分前までは、明日からなにをしよう? とわくわくしていたのに、今となってはもう不安だけが心を占めていて、なんにも考えられない。
「明音ちゃん、しっかりね。病院についたら暫く食事どころじゃなくなると思うから、良かったらそこにあるパン食べて? こんな季節だし、きちんと食べないと明音ちゃんまで倒れちゃうから」
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