ハッピーエンドを書くから、そばにいてくれませんか?

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――4組、か。 「4組、か」 振り向くと松柴琉人が立っていた。 「おはよ、きなこ。まさか同じクラスになれるなんてな。」 確かに・・・・・・私、『三鳥羽ひなこ』の上に『松柴琉人』の名前が書かれている。 屈託のない笑顔を作って琉人は私の肩に手を回してきた。 地味キャラの私にとってみれば、想像を絶するほどのスキンシップだ。 ――ちょ、ちょっと!学校でベタベタするな!てか私はきなこじゃない、ひなこだっ。 周囲の視線が全身に刺さるのがわかる。でも琉人は一切気にする素振りはない。 「で、千沙ちゃんは何組?」 そんな姿を見てか、横でちょっと頬を赤らめた千沙は 「私は6組」 と答えるのがやっとな感じ。 ――てか琉人、早く離れないかっ。 と思った途端、私の肌に刺さり続けていた周囲の視線が緩んだ気がした・・・・・・いや、確かに緩んだ。 「琉人、それ、セクハラ」 その声にハッとした。 間違いなく寺浦君だ。我がラノベの「ユウヤケ様」のモデル寺浦夕陽の登場ときた。登場に合わせて、みんなの視線が寺浦君に向いたから、「矛先」という私の役目は用済みとなった。
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