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さて1ーSに着いた。俺は堂々と前のドアを開け教卓を見やる。そこにはホストさながらの、金髪、碧眼、今どきそれかと思うような赤シャツの二十代中盤くらいの男が教卓に突っ伏して寝ていた。俺はため息を吐くと、カツカツと教師に歩み寄り思い切り頭を叩いた。ゴンっという重い音が鳴り男が勢いよく飛び起きた。「皇先生?今はホームルームの最中では?」凄みをきかせて言ってやると、途端にキレ出すホスト教師もとい俺の兄「皇 夕羽」。「あんだよ。こちとら疲れてんだよ。いいじゃねえか。ちょっとぐらいヨォ。」俺は青筋が浮かびそうになるのを抑えて、「職務中ですよ。理事長に言い付けても?」と脅してやればすぐに静かになり「それだけはやめろ。」と言う。そして「んでお前がここにいんだよ。」と聞いてくるので、お前のクラスの生徒を連れてきたんだよ。出欠くらいとれ。と言いたいのをぐっとっこらえ、「先生のクラスの生徒を連れてきたんですよ。」とそれまで大人しくしていた慎を差し出す。「誰だ。こいつ。」と心底不思議そうに言う兄に「黒瀬くんですよ。黒瀬 慎。」というとああという顔をした。一応出欠はとったんだな。「じゃあ、俺はこれで。」と言外にちゃんとしねぇと言いつけんぞ。と言いながら慎の首根っこを兄に渡し教室を去る。その間生徒は誰一人として言葉を発しない。よく訓練されてやがる。
黒瀬 慎side
入学式をサボり講堂裏で酒を飲んでいると寝てしまっていた。起きるとびっくり結構な美形さんがおりました。やべーここは誰もこねぇと思ってた。その美形さん俺を見るなり、ポカンとしていたが「なんすか。」と俺が言うと「名は。」と聞いてきた。まずお前が名乗れや。とまあ正直に言うと、「俺を知らないだと。」と意味不な言葉が返ってきた。いや、知らんし。それも正直に言うと「皇 黒羽」と返ってきた。そこでもう一度「それで?お前の名は。」と尋ねられたので「黒瀬 慎」と素直に応えた。んでその後なんか考えよった会長さんは徐に俺の顎に手を伸ばしてきた。ので、避ける。いや避けるやろ。怖いやろ。イラっとして「なんなんすか。」って言ったら、なんか説教が始まった。「はいはい。次は見えないところでやりますよ。」と聞き流して寮に帰ろうとした。…やっぱそうなるよね。「クラスは。」と聞かれたので「知らんす。」とこれも正直に応える。すると会長様はため息吐いて、俺を引きずり出した。えっちょい待てや。首絞まっとる。痛い…
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