七月七日はデートの日

10/20
前へ
/20ページ
次へ
 公園を後にした二人は、図書館に来ていた。  静かな館内には多数の本棚があり、その中には多数の書物が詰まっている。  二人は椅子に腰かけ、一緒になって一冊の本を読んでいる。  本はハードカバーで、表紙には風景画が描かれている。 「この二人って、どう考えても好き合っているようにしか思えないんだけど、なかなか口にしないのよね」 「まるで昔の俺達みたいだな」  二人が懐かしむようにして読んでいる本は、青春小説のようである。  青春小説にも色々ある。  恋愛ものかもしれないし、部活ものかもしれない。それともミステリーか、あるいはホラーか、はたまたファンタジーやSFなのか。それはわからない。  青春を描いた小説には、煮え切らない男女が登場することが、ままある。  今は互いに愛を語り合える二人にも、かつてこのような時が、あったのかもしれない。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加