七月七日はデートの日

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 二人は公園のベンチに腰掛けている。  織姫の手には直方体の小箱。  ホテルを出てからコンビニに立ち寄り、購入したプレッツェルである。 「ねえ、彦星さん」 「何だい?」  織姫は小箱から一本のプレッツェルを取り出した。  プレッツェルはスティック状で細長い。  織姫は、それを彦星の口に近づけ、軽く挿した。 「ん」  織姫は、すかさずプレッツェルの端、彦星とは反対側の方を口にする。  プレッツェルを()みながら顔を彦星の方に近づけていく。  彦星もまた同様に顔を織姫の方に近づけていく。  やがて二人の唇が軽く触れ合った。  織姫は優しく微笑む。  彦星もまた同様に微笑む。  二人の周囲には幸せに満ちあふれた空気が漂っていた。
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